普通帰化における許可条件は国籍法第5条で定められており、6つの条件があります。
1.住居条件(例:引き続き5年以上日本に住所がある)
2.能力条件(例:20歳以上)
3.素行条件(例:納税者)
4.生計条件(例:自分又は家族の資産又は技能で生計が成り立っている)
5.重国籍防止条件(例:自国の国籍離脱)
6.憲法擁護条件(例:憲法順守)
帰化を検討されている方がこの6つの条件を見ると、「私は全ての条件を満たしているので帰化は許可されるわ」とご安心される方は多いのではないでしょうか。
確かに、法務省のHP「帰化許可申請者数等の推移」によると、ここ2年では不許可の割合はわずか3~4%です。
http://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html
では、この3~4%の方々は帰化要件を満たしていない方だったのでしょうか?
そうとは限りません。
というのも、この5条の柱書では「条件を備える外国人でなければ、帰化を許可することができない」とあるだけで、「条件を満たす=許可」ではないのです。
帰化許可申請は羈束(きそく)行為(自由裁量の余地のない行為)ではなく、「裁量行為」とされており、第5条の条件以外になお様々な事情を考慮して帰化を許可するか否かを自由に決めることができる広い裁量権を法務大臣は持っています。
そして、さらに、帰化の不許可決定をするにあたって考慮した全ての事情を明らかにする義務もありません。
条件を満たし、許可が降りるものと思い込んでいる申請者の手元に「不許可決定」が届けば、驚き、信じられず、理由を知りたくなりますよね。
でも不許可事由書なんて発行されませんし、問い合わせにも対応してくれません。
何が不許可の判断事由になるのか分かりませんので、提出する書類はとても重要で慎重にならなければなりません。
ですが、提出すべき書類のほとんどは事実証明ばかりですので、当事務所では、独自性が出る「動機書」の存在が大事になってくると考えてます。
申請時に法務局担当者によるインタビューの時間が設けられており、そこで法務局担当者から威圧的な質問をされることはほとんどありませんが、時間も限られているため、緊張から自分らしく話ができず良い印象を与えられないかもしれません。
そんな時、自分自身を代弁してくれるのが「動機書」です。
特別永住者の方は、提出書類に「動機書」は含まれませんが、インタビューはあるので、当事務所では特別永住者の方も「動機書」を書くことをお勧めしています(その場合は手書きの必要はありません。)。
ですので、法務省内で許否の判断される際に、国際情勢や外交関係等、申請者本人に関係の無いところで許否が変わってしまうことのないよう、自分自身の思いの詰まった「動機書」を準備しておきたいものです。
もちろん、帰化申請の「動機書」を書き慣れている方なんてほとんどいらっしゃらないと思いますので、当事務所では「動機書」の作成についてのアドバイスもさせて頂いております。お気軽にご相談ください。(お問合せフォームはこちら)
※このブログは、行政書士江﨑純子(旧マリンゲート横浜行政書士事務所所属)との共同執筆によるものです。